激しさ

真冬になるたびに二時間くらいかけて散歩する道のりがあって、今日はそれを歩いた。毎年ちょうど今くらいの時期に、この道を歩いて、これが一年ぶりかと、毎度思う。前回なかったはずの建物がとつぜん建っていたり、それまであったはずの建物がとつぜん無くなっていたりする。歩きながらその違いを感じて、一年という時間の厚みのなかでの変化を想像するのだが、それが一年ではなく、一瞬にしてそうなったという感じもする。というか一年と一瞬の区別が曖昧になる。

橋から見下ろす河川敷の景色はいつも激しい。雑木林が途切れて、水を含んだ泥と石のなめらかな表面があらわれ、それを波飛沫が洗って、やがて広大な水面が広がる。目のまえに、桁違いに更新されたスケール感が一挙にひらかれる。

激しいというのは、色々な要素がそのまま剥き出しでぶっきらぼうに置かれているという感じに対してそう思う。これはいつも変わらないのかもしれないが、いつも変わらない激しさを感じるので、それは変わらないという印象ではなく、むしろいつも生々しい。変化の無さが、そのまま生の荒々しさをあらわしている。