新宿は多くの人でにぎわっていた。若い人が多いと感じる。僕らは大して用事もないし、新宿にはもはや年に数回も来ないけど、たまに来ると、新宿というのはたしかに楽しい街ではあるよなと思う。
昔から新宿のことは好きだった。中学生の頃から、映画を観に来たし、ゲームセンターに通ったこともあったし、レコード屋にも行った。本屋にも行った。居酒屋やレストランや喫茶店やバーに行ったし、ツタヤにも行ったし、ライブも観たが、新宿にばかり居たわけではなくて住まいとの関係上むしろ新宿の機会は少なかった。そのまま気付けば自分も年齢を重ねた。
新宿を歩くとき、あの店やあの建物がすでに無くなったこと、まったく知らない建物や店が出来ていること、そういうことばかりを考えつつ、あたりをきょろきょろと見回しながら歩いている。まったく見覚えのない景色であるはずなのに、よく知ってるような思い込みがある。というか、かつてはよく知っていたのだが、それが無かったことにされている現状を見て、そのたびに虚をつかれながら歩いている。
新宿の場合、とくに若い男性も女性も、新宿ならではの気の張り方をした表情や姿で、路上を歩いてるように見える。これは渋谷や池袋や青山や六本木や上野や浅草のいずれとも違って、新宿を歩く男女だけに感じさせられる、それは何十年も前から変わらない特徴であるように思うのだが、気のせいだろうか。
それが僕の思い込みだとしても、とにかく新宿は相変わらずに思われた。次にいつ来るかわからないけど、いつまでも相変わらずな雰囲気であれば良いと思う。(予告で観たドキュメンタリー「エコー・イン・ザ・キャニオン」を観るために、来月あたり再びシネマカリテを訪れてそうな気もする…)