戦メリ

大島渚戦場のメリークリスマス」(1983年)を、なんとなくの最初の30分くらいまで観ていた。この映画は昔、テレビ放映されるごとにさんざん見たという印象があるのだけど、今調べたらテレビ放映がそれほど何度も繰り返されたわけではないのかもしれない。だとすれば、録画したものを繰り返し観たのだろうか。今となってはよく思い出せないけど、なにしろどの場面から観ても、各シーンごとに、ここでCMが入るぞという瞬間を、かなり鮮明におぼえている。CMを入れるにうってつけの場面が、ちゃんと用意されてる印象さえある。

へんな映画だと思う。最初から最後まで、すべてがスベッてる。気が狂ってる。仮面ライダーの映画をリメイクしていた人にも見せたくなるような、おそろしくぎこちなくて、ちょっと気を許せば瞬時に崩壊しかねないような、危険な時間イメージ。

しかし今更ながら驚かされたのは、デビッド・ボウイがこれからもはや確実に処刑されそうな部屋に連れ込まれて、やけに大げさな手枷を両手に付けられて、両腕を高く上げた状態で、いざまさに銃殺されるという場面の、説明不可能に変な感じ。銃撃音が響き、デビッドボウイが「やられた…!」とか呻いて、その背後から坂本龍一がゆっくりと近づいてくるという、あの場面。

このシーン、何度も観た記憶があるし、この直後かならずCMだったし、当時からわけがわからなかったけど、でもこれって、名シーンだよな…とあらためて思った。本気で謎シーンだと思うけど、あそこからすべてが始まった…という感じがする。ヤバい、説明拒否みたいな、どうしようもなく、狂おしい場面だ。