中南米系な面立ちの、たぶん十三才か十四才くらいではないかと思われる女子が、公園で自転車の練習をしていた。よろよろと、しばらくの間、上手く乗れているようで、しかしやがて腰砕けのようになって、大きく自転車が傾き、あわててサドルから身体を離す。自転車を降りてしまうと、自転車の重量に負けそうになって、両手で必死にハンドルを掴み、なんとか方向転換しようと頑張っている。その脇を我々が通り過ぎようとするとき、その子ははにかむような表情で笑うので、そんな恥ずかしがることないよ、と思う。でもあれくらいの年齢で自転車の練習をする人は、はじめて見たと思う。

思えば誰もが、小さな子供から老人まで、当然のように自転車に乗ってすいすいと道を行き交っていて、たまには危ない運転の人もいるけど、それも自らの操縦技術はとくに難無しとの自覚ゆえだろう。僕もごくたまに自転車に乗ることがある。けっこう安全運転のつもりだが、直線ではスピードを出す。(モーター付きのレンタルサイクルはすごくスピードが出る。)自転車に乗れない人が、いつまでたっても乗れないままということもあるだろうか。