そうか成人式かと思う。色とりどりの着物姿が、今日だけは鳩のかわりに公園を大量占拠してる。いまさらながら、奇妙な催事だと思う。駅前にも、コンビニにも、スーパーの食品売り場とかにも、赤や白が、いっぱいいる。きっとあの二階のファミレスにもぎっしりと詰まっているのだろう。もしや駅の反対側の裏路地とかにまで紛れ込んでないか、辺り一帯、どこまで広範囲にまき散らされて、飛び広がったのか、周囲を見回したくなる。そのくせ向こうから連なって歩いてくるのとすれ違うときに妙な圧を感じて、思わず目をそむけたくなるというか、なんだか人間じゃないものが目の前を通った気がして、変にいたたまれない気持ちになる。

思えば成人式って、小中学校時代の知り合いと再会するイベントなのだよなと思う。個人差はあれ、多くが高校でいったん地元を離れるというか、地元だったとしても近所以外の人らと関係をもつことになって、そこで数年を経てから、また戻ってくる会なのだ。そこにはさまざまに、興味とか好奇心とか、複雑な思いとか、忌避とか嫌悪とかの思いがあることだろう。

でもやはり、誰もがまだ若いのだから、それは単純にうらやましい。自分が老けるのも嫌だけど、他人が老けたのを見るのも嫌なものなのだ。再会は若いうちだけでいいかな。自分の年齢になってしまうと、さすがにもういいや。侘しくなる一方なので、もう誰の顔も見たくない。そんな気持ちがある(しかし来月、同窓会に出席せざるをえない…しかも二度)。