「坂の上の雲」8巻の前半だけ再読


数日前から、また「坂の上の雲」を読み返している。文春文庫8巻の、日本海海戦の箇所から読み返し始めたのだが、もうやたらと面白いので、時間があれば本を開いて読み進むしかない状態になっている。もうほぼ「勝負」がついたのでそろそろ読むのをやめますが、まあ戦争ってなんて面白いんでしょうと思わずにはいられない。


なんだかんだ言っても、戦争の話は楽しく、面白い。老若男女問わず、戦争の話を面白くないと言う人は多分、少ないはずである。人間が組織だって暴力を行使する話ほど、社会的存在としての人間を露呈させるものはないから、本来、社会的にしか生きる事が出来ず、社会を背景にしてしか喜びや楽しみもない人間にとって、戦争ほど「生きる喜び」を感じさせるものは無いのだという事が、少なくとも自分の喜び方をみてると、よくわかる。


驚くほど残酷な事が、非常に的確かつ論理的に行われるのが戦争で、さすがに、日露戦争と現代の戦争とは随分様相が違うだろうが(現代の戦争は、さらに呆然とするような整然とした表層をしているだろう)、「死傷」への対処に関する箇所など、読んでて逆に爽快な気分にさえなる。「敵弾の炸裂とともに艦内のこまかい破片が兵員の体に入る。もし治療が遅れた場合、化膿してそのために落命する場合が多い。」ことを防ぐため、総員入浴し、清潔な新装に着替え、艦内を洗浄し、消毒までしておくという。乗組員は、戦死して体が砕けてしまっても身元がわかるように、本籍・氏名・戦闘配置の書かれた木製札を肩から袈裟がけにしており、さらに「各艦の副長は砲側に砂を撒かせた。これは恐るべき作業であった。砲側が血みどろになった場合、兵員が足をすべらさぬようにするための配慮だった。」とある…。


「戦争が、人道と悪魔の作業を同時におこなうものだという意味では、これが最後の戦争といえるかもしれなかった。」…で、この後、超・有名な幾つかのエピソードを挟み、会戦開始と共に、両陣営とも文字通り生き地獄の様相を呈するのです!!