テトリシャン


電車が超・混んでいる。真横にいる女性が、すさまじい指さばきで、NINTENDO DSを操作している。かなりの腕前なテトリシャンだ。短いピッチを猛烈なスピードで上下する両手の親指の爪先には、細かな、白濁した発疹のようなネイルアートが施されている。


圧倒的な操作によって、束ねられ、押しのけられ、全部纏めて誘爆の如く陥落していくテトロミノ塊の脇で、マリオがクルクルしているのを、思わずぼーっと見つめてしまう。


ところで、このクルクル回転している動きのスムーズさには、何度見ても驚かされる。というか、これほどスムーズにクルクル動くイメージ映像が、あれほど小さな画面上で表示されている事の驚きだ。イメージ自体が持つインパクトではなく、そのイメージを見ているシチュエーションのギャップ、というか新鮮さに対するインパクトである。半年ほど前の、会社に居る若い子たちのデスク上に、それぞれ個人のNINTENDO DSが置かれていて、それぞれの画面でマリオカートがひょいひょい動いていたときの衝撃を思い出す。


昔、暗闇に発行しているLEDの光なんていうものが、とてもかっこ良く思えたりしたのは、遠い昔だ。あの液晶に表示されている艶かしさと言ったら、やはりどうかしてる。。今更こんな事書いているのは、とても恥ずかしい事なんでしょうけどやっぱり最新ガジェットの最新として輝いてるだけの魅力ってのはあるなあと思う。