「ファン・サーヴィス [bitter]」perfume


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Perfumeに関しては、無料動画配信サイトで公開された「エレクトロ・ワールド」発売記念イベントでの、あのステージパフォーマンスを観たときの衝撃が今でも忘れられない。っていうか、一体何百回観ましたか?ってくらい繰り返し観た。あれの何が良いのか?の、その感動を言葉で説明する事は、ちょっと僕には無理なのだが、あそこで演じられる歌と踊りというのは、ほとんど神々しいような力に包まれている。しかしこのステージを捉えた映像は客席正面からとステージ袖からの2台の固定カメラで、おおよそ演出とかそういった意識が無く、ただぶっきらぼうにひたすらそこで起こっていることを記録するためだけの録画機械として動作しており、まあこの時期のPerfumeの映像とはこれに限らず大抵がそんな感じだったのだが、ほぼ全編正面からの固定ショットが、曲が中盤に差し掛かって3人が体を斜めに反らせつつ細かなステップを同期させてステージ前方に移動してくる瞬間、ようやく舞台袖からのショットに切り替わり、もうその切り替えだけで、ほぼ感動としか呼びようの無い感覚に包まれるのを抑えることができなくなったりもした…。


今回発売されたライブDVDは、合計11台のカメラで撮影されたそうで、目まぐるしいほどのカット割りとか、ズームイン/アウトしながらステージ前を横移動していくとか、歌う3人それぞれの、驚くほど近い顔アップ(しかも皆良い顔していてさすがアイドル!)とか、多画面分割とか、他にもいろいろなテクニックが矢継ぎ早に、縦横無尽にこれでもかというくらい使われていて、それがかなりな高密度に圧縮されて編集されていて、もう、ひとつひとつの曲を演じている時間と空間のドキュメントというよりは、曲との相乗効果によって観る者を刺激させ高揚させるイメージ映像のような、とにかくものすごい豪勢でちゃんとしたアイドルグループのライブDVDという感じで、前述の印象が遥か彼方の遠い思い出になったかのような錯覚すら覚える…が。


途中のMCで、本日の模様をライブDVDでリリースする旨を客席に向かって話してるとき「普段カメラ1〜2台のPerfumeが、なぜ今日は11台なのかというと…」とか言って、客が思わず失笑するシーンがあるのだが、これも捉えようによっては結構深い言葉ではある。。まあ今まで大体が、販売店や特設ステージでの販促活動の記録のために撮られているとか、コンテンツ配信サービスの素材で使うために撮られてるとか、まあ常にステージパフォーマンスを「カメラ1〜2台」で撮った世界であって、下積み真っ盛りなアイドルグループなんだから当然の事なのだが、しかしそのような素材の匂いを色濃く残したような映像が、ここ最近の動画共用サービスサイトとか動画無料配信サービスが隆盛を極めているおかげで、いくらでも観れてしまう状況であった。


なので、ある意味Perfumeのビジュアルイメージとは、素晴らしいステージパフォーマンスを繰り広げて、それがハンディカメラ固定回しっ放しみたいなぶっきら棒な撮影で切り取られているという、大体そんなイメージであったと言っても過言ではなかろう。少なくともずっとFLVファイル保存しまくってる僕にとってはそうだった。その意味では本作のゴージャスさには、どうにも妙な違和感を感じなくも無い。


まあ、そういうゴージャスな内容のコンテンツをリリースする事が、少しずつグループとして「より高いステージに上がる」事でもあるのだろうけど、まあ簡単に言えば、とにかく3人の振り付けの全貌を見たいのに、あちこちにカットが飛ぶのでちょっとフラストレーションが溜まるというか。。別に派手なところとか無くても良いし、3人の顔のアップとかそれ系の人間的な演出よりは、ステージ全体を収めて、その上で繰り広げられる3人のあの踊りを、ちゃんと全部捉えてくれるような視点がいくつかあるだけで良かったのに。とか勝手なことを思ったりもした。


まあでも、中にはあまり興味が沸かない曲もあるが、なんだかんだ言って死ぬほどヘビロテになってしまう中毒性の芳香は強烈で、やっぱ「Electro World」「Computer City」「Perfect Star Perfect Style」「Twinkle Snow Powdery Snow」「Imitation World」あたりの可憐な感じはもう、非の打ち所が無いほどの素晴らしさ。。…あーあ。俺も女でかわいくて歌と踊りが上手ければPerfumeに入るんだけどなー。