人間の社会的役割について


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「仕事」をおおまかに分けると二種類あって、ひとつはゼロから何かを生み出す系というか、新たな金脈を掘り当てるでも良いし新たな価値の創造でも良いし何でも良いのだけど、とりあえず無から有をつくりだすとか、そういう風に言われる様な仕事がある。クリエイターとかイノベイターとか企業家とか発明家とか、あるいは科学者や研究者とか、そういう種族がいる。


片や、マイナスをゼロに近づけるように努力する系というのがあって、皆から必要とされてる、求められている期待値というのがあって、それは常に安定して維持稼動されるべきなのだけれど何らかの原因でその期待を下回る状況が発生したときに可及的速やかに対処を施すような仕事がある。医者とか消防士とか、警察官とか、そういう種族がいる。


あと「ものの考え方」とかも、おおまかにわけると、これもまた二種類あって、ひとつは革新系というか、現状を打破してより良くしたい。再構築したい。もっともっと色々な可能性に挑戦したい、と考えるような流儀がある。


片や、保守系というか、今あるものの在り方を最大限尊重したい。守りたい。なるべく変化しないで幸福になれるのが望ましい、と考えるような流儀がある。


(革新/保守という云い方をするとどうしても政治スタンスみたいに考えてしまいがちだが、ここではとりあえず具体的要素の濃度を薄めて考えたい)


普通、ゼロから何かを生み出す=革新系/マイナスをゼロに近づける=保守系、という風に繋がるんじゃなかろうか?単純に新たなものをクリエイトするんだから革新だし、今あるものを守るんだから保守だと。


でも僕の中で最近、それって実は逆なんじゃないか?という気がしている。ゼロからクリエイトするのって、避けがたく保守なんじゃないかと。あるいは今あるものをたえず守るのは、根本的な革新なんじゃないかと。


まずゼロからクリエイトするというとき、そのゼロとかクリエイトしたとか、そういうのを成立させてもらえる前提が、飽くなき保守作業によって適っているという厳粛な事実がある。それなくしてはクリエイトが成立しない、というのは当たり前すぎて誰も問題にしないけどやっぱり事実なのだ。


また、今あるものを守る場合、飽くなき応急処置を繰り返しながらそういう人って誰よりも目の前の障害とか問題とかが、今自分ひとりが何とかできるレベルの話じゃなくて、実際はもっと大掛かりに根幹からやり直していかないといけないんだという事を肌身に沁みてわかっていたりする。うわべで必要とされている事のもっと奥底に根本の核心があって、幻想かもしれないけどそれがとりあえず見えるから、ほとんど孤独にそれを意識しながら見た目訳のわからない仕事をしてたりする。


だから本当に理想的なのは、過激なまでにクリエイティヴ保守主義であり、信頼度満点の保守技術者的クリエイターなんだろうと思う。…というか、まあこういう考え方自体が社会という「全体」を勝手に想定して、その中で役立つ要素としての人間をイメージしてるのだから、その大雑把さというか都合良さに意識的でなければいけないのは勿論です。こういう社会の中で何かの役に立つ何々…というイメージを基に動きだすと、人間大抵ロクな事にならないのだというのもわかってるつもり。…でももう書いてしまった。


…っていうか、じゃあ「芸術家」という種族がいるけどそいつらは保守なのか?革新なのか?クリエイターなのか?保守作業者なのか?…っていうオチを最初から用意していた訳です。誰でも気付くと思いますけど。。でもまあ、確かに皆さん仰るようにつまらないので書かない、…などという事まで書いてしまった。…まあ自分の好みに寄り掛かって本音を云うと、絵描きさんは消防士みたいなイメージなら良いなあと思ってるのだけど。昔は「製図師のようでありたい」とか思った事もあったけど、…30秒くらいだけだけど。