「カラーパープル」


カラーパープル [DVD]


みはじめて最初の30分はわりと良くて、思わず最後まで観てしまったが、後半は全然面白くなかった。全体的にわかりやすすぎるし展開が荒っぽくて乱暴な感じがしてしまい、いくら感傷的で涙もろい僕でもさすがに白けた。映像、というか降り注いでくる光自体はキレイで、如何にも名場面的シーンが無理やりつなげられたような感じである。すごい名場面的なものをぼやーっと見てる分には楽しい。


もし、悪(現実感)というものを描く事ができたら、それはすごい事である。その意味で、この映画には悪人が出てこず、自分勝手で浅はかな思慮の浅い人が少し出てくるだけである。暴力とか卑劣さとか、そういう理屈としての酷さでしかない。だから本来はかなり迫力もあって魅力的にも見えるであろう筈の女性たちの姿が、あまり輝いて来ない感じである。なんか普通に、自立した女性バンザイというメッセージにしか見えない。


しかしウーピー・ゴールドバーグは確かに素晴らしい演技だと思う。かなり観客受けしそうな、客に媚売ったような演技だとも思うが。でもやはりこれはすごい。最初、猫背でうつむいて、笑顔は手で隠すようにしていたのに、ジャグと知り合って話すことで少しずつ自分らしさのようなものを取り戻していき、大きく口を開けて笑い始め、やがてある種の知性めいたものを漂わせ始めるあたりはまあまあ良い感じだ。ジャグとの、レズビアニズムのような執拗なキスのシーンとかも、そのように認め合い求め合う事の、とても強い説得力があって良かった。あれくらいの切迫感が最後まであればもっと良かったのになあと思った。