寒さがいよいよ本格的になってきた感じだ。冷気が体の表面から容赦なく熱を奪う。首元や脇の下やみぞおちのあたりや足元とかに、なすすべもなく熱を奪わてしまう事の頼りない情けなさがまといつく。呼吸すら、それをするたびごとに、得るものより失うものの方が多いようにさえ感じる。食道から胃腸にかけて、体温の真ん中に隙間風がさしこむかのような思い。なにもかも寒く、自分が薄皮一枚のまま冷凍されるのを待つだけの存在であることがかなしくなる。
でも10分ほど歩くともう、薄皮だったはずのものが、外気に固められて硬く抵抗力のあるなめし皮のようなものへと変質しており、内側の柔らかく暖かなものをそのまま抑え込むような感じになる。そこまでくると逆に、冷気が身体をなめていないと快適ではないくらいになってくる。