若者


今日はかなり気温が高く、あせばむような陽気であった。若い人たちが、男性が二人女性が四人いたが、皆が、その身体から、やけに甘い香りを発散させていて、かれらは皆陽気な笑顔で手持ち無沙汰な時間をもてあましているようであった。でも彼らは、こちらが何かを話しかけると、最初は軽く驚いたような表情をみせ、しかし次の瞬間にはすぐに、満面の笑みでこちらの言葉を聞こう聞こうとして、前のめりにせり出してくるのであった。それが彼らにとってはとても喜ばしいことであるようなのだ。しきりに首を縦に、何度も何度も動かして肯いていて、まるで言葉を飲み込んで咀嚼している状態を自分なりに表現しているかのようだった。話が終わった後も彼らは依然として、熱に浮かされたような表情をうかべ、そのあとフロア内を怖ろしいほどの素早さで行ったり来たりし、それでまた、かれらの身体から発散される甘い香りが、辺り一面に一層濃くただようのであった。