今日の雨はなかなか良かった。外に出たら、足元のコンクリートが雨でところどころ黒く濡れており、上に出っ張っているひさしの下だけは乾いているので、その部分を歩いていると、顔や腕に細かい水の飛沫があたるのをかすかに感じるが、それが生暖かくて、しかし移動するとその分だけ冷えた新鮮な空気が身体にあたって少し爽快感がある。
雨粒自体の重量が軽い感じだった。ただ降っており、何もかも黒く濡れており、風に揺られてぎらついているのだが、しかしたっぷりと水分をふくんでいる筈の大気がやけに軽く、歩いていてあまり空気抵抗を感じずに移動できてる事に気づいた。水分をたっぷりと含んだ空気の中にいて、全ての色が褪せてモノトーンに近づくような景色の広がりが目の前にある。もう夕方の5時をまわったのだが、真冬とくらべたらずいぶん日が長くなって、まだ全然暗くなる気配もないので、景色が雨に濡れて霞みながらも、不思議なほど独特な明るさで内側から照らし出されているように見えた。