I'm Diggin' It (Like an Old Soul Record)


中古屋とか、ヤフオクとかで、価格を見て、べらぼうにプレミアがついてるを見て、うわーこりゃあかん、と思うのだが、でもやぱり欲しいという気持ちが消える事は無くて、むしろ、炊きつけられたような気にさえなるのだが、でもぼくは基本的に大体、定価の2割以上高値のついたものには手を出さない。いや僕が言ってるはたかだかCDとかレコードのことなので、そういうのは一時的にぽーんと値段が上がるというのはよくある事だし、所謂歴史的な貴重盤とか希少盤をのぞけば、高値沸騰とか言ってもまあ、はっきり言ってさほどの価格ではないし、とっとと聴きたいのならさっさと金払って入手して聴けば良いわけで、効率優先で考えるなら価格で躊躇するなんて実に馬鹿馬鹿しいのだけど、でもやっぱりそれは躊躇する。いやむしろ、躊躇する心を捨てない、という気持ちがある。なんというか、音楽鑑賞する人々それぞれの、流儀というか、それぞれの人々の日々の営みというものを想像して、それに多少なりとも敬意を払う気持ちがあれば、目に前にある高値の商品にぱっと手を出してしまうという振る舞いが、如何にも状況とか経緯を軽んじた、品のない、慎ましさに欠けた行為に思えてしまうからだ。レコードというものは、レコード屋に足しげく通って、日々棚を観察していれば、自分がほしいと思ったものは、何ヶ月先か何年先かはわからないが、ほとんど必ず、一度か二度は、ほぼ必ず目の前に、その実在の姿をあらわすものなのである。しかも、全身から力が抜けるような投売り的な中古盤価格で!…これが、これが、お前がずっと欲しがっていた、憧れて恋焦がれて夢にまでみた、そのレコードだよ、と。それは今や、社会的にはこういう価値のものだよ、と。それを知った上で、それでもなお、お前が、昔と同じように、その音を聴いてみたいという気持ちを持っているのなら、遠慮なく聴くがいいさ。さあ私をレジに持ってお行き。…レコードが私に、そう語りかけてくるのである。…だから、それが現実、というもので、そういう幾多のサイクルの中で生きている人たちのことを想像したら、ぱっと火が付いたように欲しがって、翌日にはぱっと高値払ってゲットする、なんていう行為が、如何に浅ましくて粗暴な振る舞いか、というのを、ほんとうに痛感してしまうのである。世間でいう、「見つけたら即効でロックオンして、湯水の如くカネを注ぎ込んで、見切りつけたらあっという間にズラかる」みたいな、日本のチャチなビジネスの薄汚いハイエナの縮小再生産みたいなやり方では、奥深い音楽鑑賞の道の端緒にもつけない、という事である。…まあでも、やっぱり聴きたいモノは多少高くてもとっとと買っちゃうんですけどね!