「UFOさま」


映画「UFOさま」という作品を観た。超・面白い。UFO研究会の学生が民宿に合宿しに来て、そこの宿主と話をするシーンからものすごく面白い。そのつどそのつどの、ひとつひとつのやりとりや仕草、表情、対話、言葉の選び方、くりかえし方、視線の動きなどなどがみんな面白い。面白いと同時に、とても潔く、すごくきっちりと切り取られて次のシーンへと繋がっていき、ぽんぽんと良いテンポでお話が進んでいくのも、大変いい感じである。で、それ以上うまく言葉で面白さを説明するのが難しい。とにかく最後までひたすら面白かった。


出ている人々も、全員が面白い連中ばかりである。まずあの宿主が最強に良い味出してて素晴らしい。研究会のメンバーもそれぞれ相当素晴らしいラインナップであり、とりわけギタリストのヤツとか、とても良いし、なにしろ歌と演奏が大変よい。「気持ち悪いといわれても、信じるものがあればこそ…」などと延々聴かされていると、爆笑しながらも、まったくその通りだぜと深く肯いてしまいたくなるほどだ。ああいうキャラのいんちき臭さとか胡散臭さというのは、浅はかに演出しても全然つまらないものにしかならなそうなものだが、あのギタリストの醸し出してる感触は、まさに「ホンモノの胡散臭さ」と呼んで差し支えないと思う。


また、宿主の妹に告白するタオル鉢巻のヤツの、もやもやと内心にたちこめる懊悩の感じとか、意を決して告白するときの瞬間など、まさに圧倒的であり、その直後の、告白された相手の、笑いを必死に噛み殺してる感じなども併せて、ほとんど感動に近いものがあった。


あと、なかなか宿にたどりつけない二人組もすごい。とくに黒シャツの方の底なしの底意地の悪さと退屈さとどうでもいい投げやりさの渾然となった感じとかはあまりにも素晴らしい。それでむしろ片割れのヤツがいささか深みに欠ける感じにも思えてしまうほどだ。「これ字ちっちゃいでしょ、ちっちゃくないすか?まじで、いやこれライターちっさくないすか?いやこれちっさいでしょ、ちっさくないですかこれ。」…とか、どうでもいいことをひたすら何度でも繰り返しており、その次のシーンでは「後ろ歩かないでほしい病ですか?あ、後ろ歩かないでほしい教の信者ですか?」とかなんとか、執拗に繰り返していきなり相手をぶち切れさせているトコロとかにも大変感激した。


…書いてるときりが無いけど、とにかく超・面白い。しかしよくまあ、こんな面白いものが作れるものだと思う。一体、どのようにすれば、これほどのものができるのだろうか?