しぬまでいきる


磯崎憲一郎氏が芥川賞を受賞、というニュースを見た。去年、川口のギャラリーで開催された「組立」対話企画・磯崎憲一郎×古谷利裕のときの、あの磯崎憲一郎さんが、テレビに映っているのを見る。この受賞によって、書く場を与えてもらった、一生書き続けていく、というような事を仰っていた。そうなのだ。賞とはきっと、そういうものなのだろう。…一生書くというのは、死ぬまで書く、という事だ。しぬまでいきる。という事だ。それを全力で、自信をもって、めいっぱい、やれと、世界が無条件に背中を押してくれるのが、賞を獲る、という事なのだろうか。それとも、やはり、そうではないのだろうか。「いや、もっとその以前から彼は孤独だった。子供のころも、思春期も、学生時代もじつはたいていひとりぼっちで、自分はそれで平気だったし、好んでそうだったような気もするが、もし本当に人生の大半が孤独なのであれば、それはもはや孤独などと呼ぶのはふさわしくない、確立された、自信に満ち満ちたむしろ前向きで楽観的な生き方なのかもしれなかった。」…唐突に矢野顕子の「さようなら」を聴きたくなったので、聴いた。