青山で大西順子、テレビでジャンカルロ・フィジケラ


Blue Note東京で大西順子を聴くのも今年で3回目。この前はニューアルバムも出たし、数年前まで「大西順子って今なにしてるんだろうね?」とか言ってたのがつい最近の事のようでもあるが、月日の経つのは早いもの…しかしここ数ヶ月くらい、テクノとミニマルダブばっかり聴いてて全然ジャズを聴く体質ではない状態なので比較的醒めた気分でいたけど大西順子はやっぱり良い。今までと同様、ガンガン打ち鳴らすような、叩き付けるような、畳み掛けるような、そういう激しさは相変わらずだが、今日は楽曲ひとつの中で演奏の濃度をぐっと深めてみたり、あるいはさっと引いてみたり、といった表情の変化を心行くまで展開させている感じで、おのずと一曲の演奏時間も長尺となり、ベース井上陽介のソロパートもかなり多く、曲間も空けずに次の曲へとなだれ込んで行く展開で、かなりストイックかつ派手さ抑え気味な感じで、でもこれはこれですごく良かった。最後はもう定番というかお約束的にSO LONG ERICで、すさまじいゴリゴリ度の超ヘビー級な演奏でわーっと盛り上がれた。でもいつも思うけどこの会場は雰囲気がやっぱり少し大人し過ぎる感じがしてしまってそこが物足りない。今日は今まで僕が行った大西順子公演の中で一番混んでたけど、でも基本静かで、騒いでる人は一人も居らず、集中している感じもあまりなく、演奏に対する反応もすごい鈍い。演奏自体はすごいのだけど、でも、うーんやっぱりもう、いつもこういう雰囲気だと何かもう、イマイチつまんないなーという気持ちも少し感じた。やっぱジャズも、まあ僕も最近だとたまにしか聴かないから、こうやってたまに大西順子BlueNoteで…という感じでもまあ良いけど、でもやっぱりもっと、本当なら大西順子以外のたくさんのミュージシャンの演奏も聴きに行くべきで、会場だってBlueNoteより全然小さいけど皆がもっと音楽自体を真剣に聴いてるような場所で聴いた方が良いんだろうなあとあらためて思った。


店を出たらすごい大雨。傘は一本だけで、表参道の駅にたどり着くまでに、まるでプールに落ちたみたいにずぶ濡れになった。


さっきテレビでF1のイタリアGP予選を見てたら、ジャンカルロ・フィジケラがいきなりフェラーリのドライバーになっていてびっくりした。フェリッペ・マッサの代役なのだろうけどフィジケラもついにキャリアの終盤に来てビッグチャンスを掴んだ、という感じだろうか。僕は昔からフィジケラというドライバーが好きで、とにかくムチャクチャ冴えた走りの超テクニシャンなベテランという印象で、というか僕の中ではフィジケラってまだ若造的なイメージも残っているのだけど、それは僕の記憶が刷新されてないからで、いまやフィジケラは全ドライバーの中でもかなり年配な人の筈である。でも、ここに来てついに、フェラーリのスーツが着れて良かったね、今まで頑張って来た甲斐があったね、と思った。…でもフォース・インディアチームのあまりの速さにも驚く…これって正直、今やフェラーリに勝るとも劣らないくらいのポテンシャルなんじゃないのか…。これ、もしフィジケラが今までどおりフォース・インディアの車に乗ってたらポールポジションもあり得たのでは?とか思った。となるとフィジケラは「ビッグチャンスを掴んだ」のではなくてむしろ「貧乏くじをひいた」のかもしれない?でもイタリア人がイタリアでフェラーリに乗れる方がやっぱり嬉しいのかしら?その辺は微妙か。