Maurizio 4.5 Side B



再生を始めると、レコードの上に乗せたアームが、驚くべき速さで、ターンテーブル中央に向かって吸い寄せられていく。その動きと連動するかの如く、強烈なリフレインがフェード・インしてきて、そのまま数十秒繰り返したのち、次第にフェード・アウトしてゆく。あっという間に再生は終り、アームはもう既に、盤のほぼ中央で細かく揺らぎながら同じ溝を何度も何度もなぞり続けるだけだ。


曲の長さはだいたい30秒程度。12inchのヴァイナルを33回転でかけて、なぜ30秒で終わってしまうのかというと、盤面の溝が極端に少ないからである。おそらく20〜30周分の溝しかない。2〜30回転で終わってしまうのである。というか、それは30秒の音楽が録音されたレコード盤ではなく、20〜30周にわたって音溝が刻み込まれたレコード盤なのであり、それをターンテーブルに載せて再生させると30秒程度の音楽が生成される、という事なのだと思う。


M4.5のSide Bは、Moritz Von Ozwardの音楽性をある意味象徴するテイクだと思う。しかし当時はJeff MillsといいMoritzといい、本当にミニマルである事を徹底的に極めようとしていたのだということに、今更ながら呆れてしまう。いやこんな事して一体何になるのか?と言いたくなるところもないではない。でも一旦火がついたらもう、やるしか無いのだろうな。