綿矢りさ「インストール」読了


うーんなるほどーという感じ。もう一度読みたいか?と言われれば、うーん…という感じ。でも「良い小説」とは、こういうものなのだろうか。要するに僕が「良い小説」というものについてわかってない、ということなのか。…きっとそうなのだろうな、という感じもする。そう思って読み返すと、なるほどたしかにそういう事なんだろうな、という風にも思える。解説で高橋源一郎のことば「ここには、日本語による日本文学の(引用や真似ではなく)、最良の『記憶』とでもいったものが反響している」というのは、おそらく長い年月をかけて小説に触れてきた人が、あるいは元々そういう感覚のすごく鋭い人が、びびっと気づくことの出来る何かで、これは小説だろうが美術だろうが音楽だろうが、良質な作品には例外なく含まれている筈のもので、たぶんそういう『記憶』の反響というのが、作品と呼ばれるものにとってもっとも大切なものな筈で、綿矢りさ「インストール」にそれがある、というのであれば、ひとまずそれを感じ取れるようになるまでは、僕もとりあえずしばらく、この世界に踏みとどまって考えるべきなのだろうと思ったので、この後続けて「蹴りたい背中」も読みます。