介護入門


モブノリオ「介護入門」面白かった。最初のほうの日本近代(戦前)の具現化みたいな百姓プログラミングマン・マシーンみたいな祖父のくだり。この祖父の強烈さが忘れられず最後まで効いてる。全編、大阪弁のことば。「おじいちゃん、麻ってヤマのどこら辺に生えてんの?」「ヨウ、ケツ拭いて飯喰わして毎晩気持ちようさしたってから言えや」「綺麗やで!見てみい、仰山花咲いてるわ!」あと主人公の「おばあちゃん」という言い方。あと介護の描写。当初の予想よりもこれはかなり、介護の小説だった。介護の描写というよりは、介護という行為がはらんでいる時間の分厚い重みがしっかりと書かれている。その分厚い重みがあるので、主人公の饒舌が激しく動き回るのが楽しい。あと介護をはじめてからの出来事がどんどん最初のほうへ遡行していくのも面白い。僕はかなり面白くて最初から最後まで相当丹念に読んでしまった。短い小説だが結構何日もかけてゆっくり読んだ。