仕事


まったく無意のわからない不可解で不条理な仕事につくのが子供の頃からの夢であった。よくわからない物資を相手に届けるために何もないだだっ広い砂漠の一本道を車で延々走り続けるとか、一日中見ていても鳥の一羽すら発見できないような晴天の空をひたすらぼーっと監視し続けるとか、数十万数百万にもおよぶ大量の在庫が積載されている巨大な倉庫を見回って品物のほんの些細な老朽とか傷みを見つけてはこまめにチェックするとか、そういう仕事。いやそれはもはや仕事ではなく、気が付いたら最初からそのような型枠にはめられてしまっている自分を発見して、いわば自分の人生がそのようなところから始まっているということに気づく、とでも言ったような状態の事なのだ。そのような高度に機械化された人生が待っていると思っていたのに、現実は中途半端に人間臭いから嫌になる。