一九〇九


先週あたりから、永井荷風ふらんす物語」とか「すみだ川」あたりをたらたらと読んでいるのですが、1909年前後に書かれたというので、その時代というと同時期に何があったのかというと、まず、永井荷風は「ふらんす物語」を書いていて、それで、へーそんなにたくさん?っていうほどですけど、けっこうその年に大岡昇平太宰治淀川長治小森和子田中絹代埴谷雄高… といった面々が同時期にたくさんご生誕である。このあたりの人々が皆同い年なのだ。それで、死んだ人というと、二葉亭四迷とか、あと初代総理の伊藤博文はこの年に暗殺されている。夏目漱石は「それから」を書いて、その後、満州旅行。そろそろ寿命が尽きそう。日本国内としては韓国併合の方針を決定したところ。


美術方面でいうと、インターネットで見る限り正直1909年はあまり事件はないかも。「アビニヨンの娘たち」は1907年。デュシャンの「階段を降りる裸体」は2年後の1911年に制作開始。あと、めぼしいところでは、マリネッティ未来派宣言、あとマティスの「ダンスI」制作年がこの年。あとエコール・ド・パリが全盛。あとイギリスでフランシス・ベーコンが生誕。フランスだとモネは「睡蓮」を…。え!?モネは長生きしすぎ…年表破壊者という感じ。。。この人カテゴライズ不可能だと思う。


カフカは北イタリア旅行中らしい。プルーストは「失われた時を求めて」をちょうど執筆中のところ。ハイデガーギムナジウムを卒業したところ。ムージルはまだ大学で研究中だが少しずつ草稿も溜まり出した。ベケットはまだ三歳。バージニア・ウルフはブルームズベリー・グループ活動真っ盛り。アドルフ・ヒトラーは若者っぽく自由気ままに隠遁生活中のとき。たぶんあなたの人生の中で、きっと一番良い季節だったね。


なんか、一九〇九年っていわゆる「大物」は皆死んじゃっていて、次世代の大物はまだこれからという感じで、それで、5年後の1914年には第一次世界大戦だし、1923年には関東大震災である。それで1931年には満州事変。


なんか、今ってもしかしたら青春の季節なのかも。