The Beach Boys


このところビーチボーイズを集中的に聴いている。ビーチボーイズのアルバムはほとんどが2in1でCDに収められていて、しかも外盤屋なら1000円くらいで売ってるのでとても買いやすい。


ビーチボーイズは、僕がうまれてはじめて聴いた洋楽と言っても良い。中学1年か2年のとき、ベスト盤を繰り返し聴いた。当時は、Good Vibrationsという曲の良さがよくわからなかった。そのわからなさの感じは今もよくおぼえていて、ということはつまり今もよくわかってないのかもしれないのだが、しかしその複雑な気持ちのままGood Vibrationsという曲は何回でも聴いてしまうところはある。聴けば聴くほどハマる。


ビーチボーイズを真剣に聴きだすと、感じられる全体的な印象としては「混沌」という感じだ。メロディとコーラスと効果音と曲構成の、もしかするとこうでもあったかもしれないし、別のかたちであったかもしれないという、その不確定な中に溺れているような気分に包まれる。


「All Summer Long」というアルバムが一枚を通じてとても素晴らしいというのはよくわかる。とても安心して聴けて、曲の良さをそのまま享受できる。「Today !」や「Summer Days」もそんな感じで、とても楽しく聴ける。この時期のバラードの素晴らしさはあまりにもうつくしくて、ほとんど恍惚状態。


「Friends」はほんとうに好き。このアルバムが当時ほとんど無視されて低評価だったと言うの信じられない話だ。これはアルバムという単位できっとしばらくの間、何度も聴き続ける事になるだろう。


「Beach Boys '69 (Live In London)」とんでもなく素晴らしいライブ盤。ライブのスリルとスピード感と荒っぽさと繊細さのバランスが感動的でものすごく興奮させられた。演奏も上手くて厚みもある。こういうライブもっとないのかな。


「Smiley Smile」たしかにそれほど良いとは思えない。でもGood Vibrations。この曲の不思議さ。出だしの異様な緊張感というか、静謐さはすごい。というかこのアルバム全体は、Good Vibrationsという曲について考えるためのアルバムなのかもしれないとさえ思った。もちろんアルバムの制作情況として、そういう事ではない、というのはわかっているが、他の曲がふにゃふにゃなので、まるでGood Vibrationsという曲の効果音がアルバム全体にあふれてしまったというか、Good Vibrationsという曲自体のまがまがしいような謎の一部がどろっとはみ出ているというか、なんというか…そんな勝手なイメージを思い浮かべながら聴いたりもした。。ちなみに僕はブライアン・ウィルソンの苦しみとか本来の「smile」の素晴らしさ、みたいな話が、あまりよくわからなくて、というかブライアン・ウィルソンの「smile」は2004年の発売当時に聴いてもいるのだが、それはそれとして、今僕がとりつかれているビーチボーイズへの関心と興味はそことは少しずれていて、今のところは僕にとってGood Vibrationsという曲が「smile」という確固としたアルバムの中に明確に位置づけられて輝いてくれてなくてもあまり構わないというか、そうであったはずのイメージを思い浮かべてなくて、むしろGood Vibrationsという曲の、曲としての妙な感じとか、どこに位置づけられているのかよくわからない宙ぶらりんで不安定な感じに、惹かれているかもしれない。とくにCDにはボーナストラックでほとんどセッションテイクのような別ヴァージョンもあって、より混迷な印象が強くなるので。


「Wild Honey」これもすごく好き。いわゆるカール・ウィルソンR&B路線、僕はすごく好きだ。こういうガサツでありながら荒々しい仕上がりの野暮な作品だけがもつ魅力ってものがあるよなあとつくづく思う。きれいに仕上げられた"名作"にはない味わい。そう言えるのはたぶん僕が、にわかファンのようなもので、本来のブライアン的なビーチボーイズらしさにそれほど執着がないからでもあるだろうが。


他にもいろいろ聴いているが、まだ引き続き聴く。