With A little help From My Friends

シャッフル再生で突然、ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンドが聴こえてきて、ビートルズのアウトテイクかと思ったら、ビーチ・ボーイズによるカバーだった。「1967 - Sunshine Tomorrow」というアウトテイクや未発表音源などを集めたアルバムに収録のテイク。

ビーチボーイズビートルズをカバーするのが好きで、ことにアルバム「Beach Boys' Party」では「抱きしめたい」とか「テル・ミー・ホワイ」とか「悲しみはぶっとばせ」とかを楽しげにカバーしてるが、印象としてはどれも大変素直な、原曲をほぼそのまま、素材をほぼそのままに、自分の余計な解釈などみじんも入れないようにストレートに演奏している感がある。「ウィズ・ア・リトル・ヘルプ…」もまさにそうで、あまりにもまっとうに、真正面から、何の雑念もなくその曲に寄り添っているかのような姿に、かえってたじろぐというか、これはいったいどういうことかと、かすかな不可解ささえ感じてしまう。当時ビートルズはもちろん大スターだっただろうけど、ビーチボーイズにとっては強大なライバルというか、打ち倒すべき屈強なラスボスみたいな存在だったに違いないとおもうのだが、それはそれとして、目の前の曲の愛らしさには素朴に心を開いてしまうのか、最初から屈託なんて感じる余地もないのか、じつに楽し気にのびのびと曲の良さを最大限に引き出してる感じがする。正直、ビーチ・ボーイズの「ウィズ・ア・リトル・ヘルプ…」のほうが、よりビートルズらしいというか、ここでのビーチ・ボーイズのほうが、ふだんのビートルズよりもよほどビートルズに似ているという感じがする。ビートルズの魅力の一番中心にある核の部分を、易々と引き出すことに成功している感じがする。