吊革に掴まっている自分の視点から見下ろす、座ってる人たちのスマホの光。遠くにも近くにも浮かぶ、縦長の画面。

それらの画面の色と動き。手前の女性は茶色で、前方の男性は青い。真ん中辺を押さえると、何かが出る。女性の場合は、素早く決まったパターンで指をなぞらせると、全体が光る。みんな、押し黙って、今をあきらめたかのように、早めに終わらせる仕事のように、ただ黙々と作業してる。

もともとネットワークは、この人とあの人とが、直接繋がってしまうものだったはずなのになと思う。彼らが二人してバスを降りて、いそいそとコンビニに立ち寄り、アクセススポットにログインして、それぞれ自分らのセーブポイントを保存するはずのものだったのになと思う。

セーブしますか?しました。それはいつの間にか、過去のことになった。