お店も、何度か行くと、その内容というか、経験できることの内実が、もうだいたいわかってしまう。それはつまり飲むことのできる酒の感じと、そこにいるあいだの時間のことだが、四度も五度も行くと、もうマンネリズムになってくる。でもそれはしょうがない。それが嫌なら、もっと別の店へ、さらに別の店へと、果てなく逃れていくしかない。でも、それも不可能だ。しかしじつは、そういうことを突き抜けて、今日は深く、喉が乾いていると思う日もある。そういうときのために駆け込める店があるのだから、べつに今あわてなくてもいい。