https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230728/k10014144961000.html
4万年の眠りから覚醒 シベリア永久凍土の線虫 再び動き出す

線虫が四万年を経て蘇生したらしい。作用/反作用運動の有無が、物質/生命の違いだとするなら、四万年の時を経て、ふたたびそれがはじまることに、じつはそれほど驚く必要もないのかもしれない…が、しかし四万年という言葉とは、いったい何のことかと思う。四万年と聞いて何かを想像できるものか。物量なのか長さなのか、そもそも何を指してそれを言うのか。

その途方もなさを下地にすれば、物質と生物との境目は乗り越えるのも容易いというか、かつて生物だったけど、その後四万年ほどのあいだは物質だった。で、今はまた生物です。…そんな軽い感じで、生と死なんてべつにどっちでもいいというか、どっちつかずでもある。

線虫は生物としてもっとも単純だから、四万年を繋いだとか、その時間を超えて生きたとか、そういうことではないと思うけど、いやそういうことだと言われれば、返す言葉は無い。線虫に、精神も四万年前の記憶もないだろうが、それを無いとは言い切れない。無ければ覚醒しないはずだ。

そもそも物質だって、四万年という時間を経て、物質としての配置や質が、まったく変化しないことなんてあるだろうか。物質だとしても、かすかな作用/反作用は行われるのではないのか。そうは言っても、仕方がない。でも「変わらなかった」と考えるのは難しい。ずっと変わり続けて、たまたま四万年前と今とが、同じ計算結果になっただけのことじゃないかと言いたくもなる。