車内の、陽の入る向かって右の座席に座っていたので、本が白く光るのを、本の片側を閉じる直前まで立てて光を遮ぎって、覗き込むようにして読み進めた。大井町あたりまで来ると、ようやく行程の半分あたりだとわかるので、ここまで約三十分経った。あと大体もう三十分程度読む、ということがわかる。しかし後半の三十分は思いのほか早くて、すぐ川崎になって、そのあと、鶴見、新子安ときて、時間の進むスピードが明確に変わる。朝の八時を過ぎてからの太陽の進行スピードと電車の速度がかすかに同期する。しかし横浜駅周辺まで来ると元に戻って、桜木町から先はよくわからなくなる。気付くと降りているし、改札を抜けて歩いている。