春の陽気となった今日だが、出かけたのは午後四時を過ぎてからだったが、ツタヤで借りたものをポストに返却して、クリーニング屋にスーツを取りに行って、食材を買い物したときに、ほとんど真横の方から放出されているみたいな、西日の光線を浴び続ける。その光線に透かされた空気の層内にたくさんの靄や塵や細かい飛翔物がめいめい自由に動き回っているが見えた。あたたかい海のなかの、その濁った水の中をかき分けるようにして、人々が行き交っている。公園の芝生では気の早いことにシートを広げて宴会していて、楽しそうな表情で向き合って口元から蟹のようにあわを吹き、子供たちの乗り捨てた自転車は折り重なって倒れていてすでに藻が薄っすらと表面を覆い始めていて、犬は息苦しさが嫌で先を急ぎたくて必死に飼い主を引っ張っている。地上から数百メートルもの高さがあってずっしりと重い空気の堆積は一人一人が簡単におしつぶされてあっというまに薄さ一ミリくらいのセンベイになってもおかしくは無いはずだが、あまりにも光が直接差し込んでくるし、上下に移動する細かい塵の動きが面白いし、何よりも全身に感じる温度と気流のなめらかさが心地よすぎて、嬉しい気持ちで自由に動き回りながら、ほとんどの時間は本来の情況を忘れたままで過ごせている。