ずっと使ってきた包丁が、最近ほんとうに切れなくなってきて、ネギなんかを刻もうとしても、結構、力をいれて、とんとんとんと叩くように切ると、ぼそぼそと、細かいぶつ切りにしかならないような、そんな按配で、いくらなんでもこれはなまくらにもほどがある。さすがにもう使い物にならないでしょ、というレベルであった。そして今日。帰ってきたら、買ってきたらしい新しい包丁が家にあって、せっかくだから、それでネギを切ってみろと言われて、別に今もうネギなんていらないし、今度でいいよと言ってるのに、無理やり切らせられて、しょうがないので切ってみたら、これは!!と思うくらい、すぱすぱっと、すごい感触で千切りになる。これはすごい。ソバ屋のネギの細さなんか、余裕でクリアできる。というか、一度千切りにして、それをもう一度、上から包丁で叩いたら、ほとんど塵の如く粉々になってしまって、仕舞いにはネギが、異様に細かくて白い紙吹雪みたいになってしまった。これではむしろ、ネギとしての役を果たせないくらいだけど、それにしてもちょっと、こんなに切れるだなんて、あまりにもすごい。切れるというか、ほとんど表現性、現前させるための力量、という感じだ。包丁というものの可能性を、今ものすごく感じている。