小林秀雄


外出するなら、昨日じゃなくて今日の方がぜったいに良かったと思われるような、紺青という名の無色透明の空。「かなしい」ような天気。風が無ければ昨日も似たような天気ではあったのだが。少し買い物に出ただけで一日中家にいた。


小林秀雄の「モオツァルト」の、酒に酔ってるのではないかというくらいの、ちょっと恐いくらい、最初から最後までタガの外れたような、テンション全開ですっ飛んでいく調子。軽薄だろうが何だろうが、やはりこれだなあ。しかしやはりこれは、人への賞賛のかたちで、モオツァルトという肉体を、どうにかして作品と関連させようと悪戦苦闘しているようで、「彼の音楽」として、作品についてと芸術家についてとを、まだ一緒に成立させようとしていて、そこに少しの苦しさというか、要するに古いという事になるが、それでもむしろ今これを読んで鮮明なのは、その超ハイテンションなピークがずっと続いてるみたいなその調子だ。それでもう、とにかくやたらと、色々言うから面白い。他の古い文庫も引っ張り出してきて一日ぱらぱら読んでいた。明日もしばらく読むかも。