成長


録画してあった「天使か悪魔か 羽生善治人工知能を探る」を観た。ブロック崩しゲームに勝て、という指示を与えられた人工知能が、おろおろとゲームをして、ひたすらミスをし続けていて、たまたま、まぐれでボールがブロックを崩して、それが得点になったら、それにハッとして、少しずつコツを掴みはじめて、ブロックを打つラケットがぶるぶると興奮に打ち震えているような挙動を示しはじめて、次第にミスが少なくなっていき、最後はほぼ完璧なプレイを繰り返すまでになるのを見ていたら、九年前に死んだ、実家の犬を思い出した・・・。まあ、あの犬はかなりバカだったので、どちらかというと最初から最後まで「ぶるぶると興奮に打ち震えている」だけ、みたいな生涯だったと思うが。。


他にも、トヨタの自動車の模型が狭いところをいっぱい走り回っていて、最初はお互いぶつかり合ってまるでダメだったのが、お互いがお互いを避けるパターンを学習し始めると、あっというまにスムーズにひょいひょいと相手を牽制しつつ走り回れるようになるとか、ああ学習って、惨めだなあ、でもこうして、頭が良くなって、人からほめられて、それが嬉しくて、ますますがんばって、いつしか偉くなって、立派な人生を歩むのだなあと思って、感慨もひとしおな気分になる。そして、やっぱり家の犬を思い出しました。ほめられると、うれしくてうれしくてね。


それにひきかえ、猫はやっぱりすごい。あれはもう、生き物の進化の最終形態なのだろう。最初から、出来上がっている。何の契約もなしに、我々の前に姿をあらわした。いっさいの承認を求めず、成長なんて、ちゃんちゃらおかしい。どこまでも孤独に、どこまでも気高く、どこまでもひたすら、ごろごろ寝そべってるだけ。