植物


僕の妹の娘、つまり僕から見たら姪だが、今五歳で、久々に見たら顔も全体的にも、少し縦にシュッと細長くなっていた。あら、また少し大人っぽくなってんだねーと言ったら、お父さんが、そうなんですよねー、ちょっと寂しいんですよね、昔みたいにぽちゃぽちゃしてた方が良かったんですけどねえ、と言うので、なるほどそういうものかもしれないですねえ、と。そして、以前と較べて少しだけおとなしくなった印象もあり、前はそんなに長い間、静かにしてることなかったのにねえ、と言うと、もう幼稚園の年長になって、最近わりと遠慮するというか、雰囲気とか空気とか、読むようなところがあるのよね、と言う。なるほどなあ、ついに社会性が芽生え始めたのか、と言って、社会性って要するに、そういうことなのか、でもまあ、仕方がないのだろうな、と思う。その後、キノコの絵を描いてくれと言われて、色鉛筆でマイタケみたいな曲線の細かく動くような傘をもつキノコのイメージを描いてあげたら、さっそくその形というか描いている手つきを真似して、それ風に描き始めた。単にグチャグチャに手を素早く動かしてるだけであまり上手く行ってないけど、でもすごいじゃない、すぐに真似しようとしたよ、こんなにすぐに盗もうとするなんて、心意気がいいよ、反射神経高いよ、こりゃ優秀だなあ、と親に褒めた。


昼間の光が窓ガラスから燦燦と注ぐ電車の中。ドア際に一人女性が立っていた。女性というか、ついこの間まで少女だった感じの幼さもあるが、子供という感じはしない。二十歳くらいだろうか。背はすっと高く、キレイな服装をして、まっすぐ立っている。植物にたとえたら、今の状態が、もっともキレイな時期なのだろうなと思う。なぜ植物にたとえるのか、よくわからないが、植物のような瑞々しさだったというのもあるし、それが植物のように、短い時間の中での刹那の出来事のように感じられた、ということでもある。