あたらしい


現場に来たばかりの人を、新しい人、新しく来た人と呼ぶのもおかしなことで、我々のこの現場にとって、その人が新しいというだけで、その人にはその人の、これまでの時間があって、その流れの果ての、今ここに来ているのだから、その人から見たら我々の方が新しい人たちで、ここが今日からはじまる新しい職場で、目の前にいるこの男性が、あたらしい担当の人だ。今日からずっと、この人に会うのか。しかしそれにしても、わたしはいま相当緊張している。緊張がおもてに出過ぎてるがしかたがない。どうしようもない。まだ周囲のことすべてが、自分にとってまるで馴染みがなくて、何もかもが油断ならない、次の瞬間には何へ変貌するか予想もつかないような不規則さに満ちている感じで、とても気を休められそうにない。ふだん通りの自分で振る舞うには、まだ少し時間が掛かりそうだ。