Night And Day

起きているような、眠っているような、物音は全部聴こえている、置時計の振り子が動いている音まで聴いている、しかし眠っている。意識は半分だけ起動されている、スタンバイ状態で止まっている。仕方なくスマホで昔の本を買って退屈しのぎに読み始めて、ますます眠りが遠ざかる。

筒井康隆「男たちのかいた絵」をはじめて読んだのは高校一年のときだったと思うが、冒頭の作品「夜も昼も」で、登場人物のヤクザの右ポケットの底には穴が空いていて、ポケットに手を入れると直接自分の陰茎を握ることができて、そのままマスターベーションが可能である。当時この"アイデア"に新鮮な驚きを感じたのをおぼえている。

そのとき以来いつまでも頭の片隅にずっと残存していたイメージ。立っている男と跪いている男の二人がいて、立っている男は跪いてる男の頭部に拳銃を突きつけている。跪いてる男はなりふり構わず泣いて命乞いをしている。立っている男は相手をうつろな目で見下ろしている。拳銃を持った手の指は引き金にかかり、もう片方の手はポケットに突っ込まれていて、股間で激しい上下運動がされているその動きがズボン越しにわかる。