原美術館


暑い。無言。
「小瀬村真美:幻画 - 像(イメージ)の表皮 」原美術館の建物もずいぶん古びたように見える。蚊取り線香の香りが漂ってる。
時間、つまり落下スピード、重力。
ルネサンス期のフィレンツェにも、スルバランのアトリエにも、重力は働いていたはず、しかし絵画に描かれた事物にかかる重力は、今この空間にかかるそれとは違うように見える、そう感じられる。
遠くを見て、どこまでも見ることができたら、やがて自分の背中が見える。
時間は感知できないものだが、絵画は古くから存在する時間装置である。
その証拠の提出と検証過程を確認するかのような体験。
モニタの光を、息をひそめてじっと観ている人たち。
外は炎天下。
いくつかの、真っ暗な部屋。
二階手前の部屋の映像作品から出てる寝息の音がフロア全体に響いている。