新学期らしく横浜駅の定期券売り場に行列用の簡易柵が設けられていた。そうか、今どきまだ、あんな売り場が列になるほどかと思って、そりゃそうだ、学生だからキャッシュレスでモバイルでってわけにも行かないだろうし。でも、そうかよく考えたら、学校というのは交通費は支給されない、そんなことも忘れていた。だとすれば学生の交通費は、自ら工面する人もいるだろうけど、大多数においてはその親が支払っているだろう。三ヶ月とか半年に一度、けっこうな金額を支払って、交通費だけではなくて学費から生活に必要な細々とした費用まで概ね準備してあげるのだろうから、これは大変なことだ。親ってすごい。子供の教育費用。愛する者を育てる。かつては僕もそうやってお金を出してもらった。お金持ちの家はきっと、稼働して利益を生み出し続ける何かを子から孫へと伝承し続ける義務があるだろうから、そのための厳しさが親子関係に介入するだろうけど、今あるこれだけのお金で、子供の定期代を払うとか、そんなレベルだとやはりそれは家庭といってもお金持ちの家的な伝承的なものではなく、たまたま組み合わさったパーティー的集団でしかなくて、その上位が下位に対して、愛の贈与を施していて、それはそれだけで消えていってしまうのだ。それで誰もが当然という顔で幸福なのだ。ほんとうにすごい。親の子への愛こそすべてですね、ああこの世は知らぬことばかり。