泡沫

ここ数日、本も読んでないし音楽も聴いてなくて、たまたま見つけたあるブログをひたすら読んでいる。もう十年間くらい続いているブログで、だいたい同じ調子、短いと数行、長いと数十行くらいの分量で、延々ずーっと、仕事の文句ばっかり書かれている。ふつうの日は短くて、何かあると愚痴や文句で文章が長くなる。そんなブログを、日付順に開いては読み、開いては読み、過去にさかのぼって何日も何十日も、ひたすら読んでしまう。そんな内容を読んでいて何が面白いのか、気が滅入らないのか、とか言われそうだが、それが意外と、妙に絶妙に、味わい深いものがある。たしかにある種ゆとりを失った人による直情的文章なのだが、そういう言葉も、年月を経るとそれなりに独特な色合いみたいなものが醸し出されるようで、それはたぶん実際に同じようなことをひたすら何年も書いているから、書いている自分がその言葉に書かされてしまっている側面があるのかもしれなくて、しかしそういうことへの自覚はないからことさら抗うわけでもないけど、ついふっと身振りが、いつもの流れから軽く除けるような姿勢になったり、ほんの少し言い回しを変えてみたり、言いきるやり方を短めにしてみたり、その日々の微妙な、おそらくご本人もまったく意識してないであろう手探りの感じの、なんかその半自動感がいい感じで、妙にハマッてしまっている。