味覚喪失

月曜日の朝から喉と鼻の状態が良くなくて、ゲホゲホとのべつまくなしに煩く周囲に迷惑をかけている有様であるが、本人にとって何よりも面白くないのは、ものの味がほぼわからないということだ。何を食べても飲んでも、味覚が、見事なまでに消えてしまっている。ただし口内での舌触りや歯ごたえや熱さや冷たさ、あるいは塩辛さや甘さ・・・をともなっているのであろう舌上の感覚・・・はわかる。もしかして人間のする食事という行為を、特殊な装置で擬似的に体験することができたとして、その精度がやや低かった場合なら、こんな感じではなかろうかと思う。たしかにこれなら口に入れて咀嚼して嚥下するときの一連の感触は全部わかる。ゲームで自動車を運転しても自分の身体に遠心力や荷重負荷が掛からないのと同様に、ここに欠けているのは味わいの感覚だけで、それ以外はほぼ全部シミュレートできているのだが、でもこの疑似体験は実につまらない。こんな状態だったら酒も飲む必要がないし料理だってする必要もなくなる。宇宙食みたいに、全部固めた物質にするだけでいいくらいだ。

今日も早めの就寝。寝たり起きたりしながら寝ている。明日は御茶ノ水でデュラスの「ナタリー・グランジェ(女の館)」が上映されるのだが行けない。…行きたかったなあ。