明るさ

朝が、これ以上ないほど夏の光に満ちている。暑さは容赦なくて、電車なんかはもう、悲嘆のため息しか漏れ聞こえてこないほどの、不快さに顔を歪めた人々の怒り、疲労、苛立ち、諦めが、渦を巻いているのだが、それでも窓の外の光の豊穣さは、ほとんど狂気に近いほど歓喜的で、官能的で、狂騒的で、このうえない喜びへの期待に、満ち溢れているかのようだ。神田駅、東京駅、有楽町駅…人が降りて行き、ドアの向こうを歩き去る彼らの誰もが、真っ白な光の中へ消えて、そのままこの世界でいちばん最高の場所に向かって進んでいるとしか思えないほどなのだ。もう明るくて明るくて、手の施しようがない、万策尽き果てたお手上げ状態のようなのだ。