マイ・ファースト・コンビニ

近所のコンビニの前で、たしか僕たちがこのあたりに引っ越してきたときそのコンビニは、まだ存在してなかった、そのことを思い出した。徒歩数分のところにスーパーがあるのは便利だけど最寄りのコンビニがちょっと遠いと引っ越した当初は思っていて、しかし半年もしないうちにあの店が出来て助かったと当時思った。とはいえ帰宅途中の路にあるのではなくて家を通り過ぎて少し歩いた先にあるので、そこに微妙な不便さを感じなくもないのだが、まあそんなことは些細な問題だ。ゲームで使用キャラを使い分けるような感覚と言って良いのかどうかわからないが、マイ・コンビニ・リストというのがおそらく誰の内にもあるのだと思うが、自分にとってはこの店こそまさにメイン・コンビニだ。ちなみにマイ・コンビニ・リストでメイン店であるということは、すなわち私の利用頻度が高い店、というわけでは必ずしもなくて、なぜか自分がとにかくそこをメインでありホームであると考えている店ということになる。利用頻度とか利用金額で考えると、会社のビル内のコンビニとかがかなり上位に来てしまうのだが、あれはやはり、ホームでもないしマイ・コンビニ・リスト内に入らない気がする(このあたりの感覚に個人差はあるだろう)。僕にとっては、やはり地元の近所がそういう店、ということになる。とはいえその店が地元的でご近所的なサービスをしてくれるわけではないし、従業員と仲良しとかホスピタビリティとかそんな話でも一切ない。単に自分だけの思い込みの問題に過ぎない。コンビニはコンビニで、どこだろうが内容は一緒である。

 

ところで、そのマイ・コンビニ・リストでメインなコンビニは、ビルのテナントとかではなくて中途半端な広さを舗装した駐車場敷地内に掘っ建てたプレハブみたいな簡易さの建屋だが、こうして午後の光の下でその建屋を見てると、相応に年季が入っているというか古ぼけたというか、そこそこみすぼらしくて、なんだかまるで自分たちがここに引っ越してきてから今に至るまでの年月が可視化されたかのような気がして、嘘でしょ、ちょっと大げさでしょう、と一瞬思った。でも十五年は経つのだから、…十五年ってこんな感じか。