都内にある自分の所属会社にはふだんほとんど寄り付かないのだが、必要があってたまに戻るとアウェイ感がすごいというか、借りてきた猫みたいな気持ちになるのだが、仕事のために戻ってきたのだから躊躇してる暇はないので、でも設置されてるどの機器を共用PCとして使って良いのかわからないじゃないかと困っていると、あ、久しぶりですねえ…などと声をかけられ、え?誰この人?あ!彼か!おー久しぶり…と、記憶の不活性層がじょじょにはたらき始めた。ほとんど、小学校時代の同窓会並みの再会感覚である。でもオフィスをよくよく見渡すと、彼ばかりでなく誰も彼もいちおう知ってる人たちばかりだった。何年ぶりかに見た人もいるし、まるで知らない人もいるけど、知らない人ばかりではない。とはいえ、知ってる人と自分が、元々はどんな距離感だったのかを忘れてしまっている。というか自分とこの人との元々、という過去の位置付けがわからない。だから話しかけられても、どの程度の親しみ感で反応すればいいのか戸惑う。たぶん相手の顔がマスクで半分が隠れているせいもあるかもしれないが、自分と彼がかつてどんな過去を共有したことになっているのか、彼が自分にとってどんな人だったのかがおもいだせない。当然のことながら、彼の名前も思い出せない。しかし、話しかけてくれてありがたい。助かる。おかげで機器の在処がわかったので、これで仕事の続きが出来る。とっとと仕上げて早く帰りたい。