具体/必然

三宅さんの今書いてるやつ、傑作の予感だな…。各登場人物、とくにホテル従業員たちのおそろしく活き活きとした様子、それだけで惹きこまれる。その世界がしっかりと立ち上がっていて、出来事のひとつひとつ、一文一文がすべて具体的だ。書かれるべきものだけが書かれた、無駄なくきちんと切り詰められて仕事がなされた文章=小説、その香りが強く漂ってる。

具体的であることは必然的であることと同じで、磯崎健一郎の云う「具体性の積み上げこそが小説を小説たらしめている」とか「小説が作者に指示を出す」といった言葉の意味も、そのあたりにあるのだろうか。