猛暑竹橋

竹橋の国立近代美術館で「ピーター・ドイグ展」を観る。はじめて知った画家。ニューペインティングが隆盛をきわめた80年代の空気を吸い込みつつデビューし現在に至るまで生き残った一人…ということだろうか…。イメージに対する間違いのない距離の取り方、何々風を上手く取捨して絵画の枠に収める技術の高さ、高偏差値なところへもっていく勘の良さ、そういう上手さはわかるが、こういうアート(?)っぽいのは、もういいかなという感想。それこそ日本の若手中堅が描く絵にもよくありそうな、既視感すごい気もするけど、その世界では高評価で活躍しているのか…?まあ、よくわからない。「13日の金曜日」のイメージを持ってきたやつは、これは上手いかもなあとは思った。あとカナダとかトリニダード・トバコとかの「現地感」は、楽しい…気も、かすかにした(本質に関係ない、意外とそういうところで好悪が決まることは、わりにあると思う)。

常設展示に掛かってる森芳雄(1908~1997)と前田寛治(1896~1930)は、いつもながらじつに立派だ。えらい。彼らの特集展示こそ観たい。いつもそんなことばかり言ってるから、新しいものをわからないのか…。それと一点掛かってた島田章三は遥か昔から日本画壇の伽藍の奥に鎮座するラスボス的老大家というイメージだが(よく知らないが)、絵そのものは意外なほど悪くないと、高校生の頃にそう思った記憶がある。久々に見て、あらーやっぱり、けっこういいじゃん…と思った。2016年に亡くなったらしい。昔はすごい技術だったNECOプリントの秋岡美穂も当時よく名前を聞いた。2018年に亡くなったらしい。まるで訃報欄を巡ってるようだ。

それにしても、まごうことなき猛暑、炎天下の外と、冷蔵庫のように冷え切った屋内。温度の落差に容赦なく体力を削られる。上野に逃げて、めずらしくせいろを注文した。このそば屋はこれまで数えきれないほど来てるけど、いつも酒をのむだけなので、そば屋でそばを食べたのがいったい何年ぶりかというくらい久しぶり。