雨光

午前中のうちに買い物を済ます。真夏と変わらない暑さ、青空を背景に、白い雲と灰色の雲が互いを重ね合わせつつ彼方まで続いている。急に思い出したかのようにどこかで一匹の蝉が鳴き始めるが、その鳴声は単独に消えゆくばかりで、時すでに遅しの印象。仲間はもうほとんど居なくなってしまって、このあと短くて孤独な余生を過ごす。寂しいけれども案外悪くない時間かもしれない将来が待っている。帰宅後ほどなくして、予報通り午後からの雨が降り出す。と思ったらすぐに窓の外が明るくなり、また暗くなり、やけに忙しない。しばらく薄暗いままだったのが、ふたたび青空になったので、窓を開けて様子を見ると晴れた空なのに雨が本降りで、濡れた家々の屋根や路面が太陽を反射してキラキラと光っている。やがてふたたび暗雲立ち込め、時折光って、しばらくしてからの雷鳴が、遠くで聴こえる。茹でたばかりの湯気立つ枝豆を皿にあけて、グラスにビールを注ぐ準備を。