BBA

ベーシストのティム・ボガートが亡くなったらしい。ベック、ボガート&アピスのライブ盤は、たぶん二十歳前後の自分が、最もくりかえし聴いたハードロックのレコードだろう。「迷信」という曲は、僕の場合、スティービー・ワンダーではなくてジェフ・ベックによる本盤の演奏の方が、思い出深かったりする。自分としては、ジェフ・ベックの仕事のなかではこのライブ盤と「ゼア・アンド・バック」が双璧という感じだ。(ここ二十年くらいで次々リリースされたライブ音源も一々息を呑むくらい凄いのだが…)

でBBA。久々に聴いたら、とても簡素な音楽に聴こえたのでおどろいた。たしかに往年のロック的な演奏作法というか演奏様式がいっぱい出てくるのだけど、単体でみれば70年代ハードロックというイメージに想像されるヘビーな音の壁という感じはなく、やたらと手数は多いがシンプルなソウル・バンドという感じだ。リズム隊は相当暑苦しいながらもドラムにはタイトなキレ感があって重たくない。重厚さとファンキーさのバランスが絶妙で、たぶん当時からそこが良かったのだ。あとジェフ・ベックは、カーティス・メイフィールド(インプレッションズ)をカバーするのが好きな人で、そういうところも良かったのだ。