小人化

昨日の散歩では、自宅から図書館までを、最短コースではなくやや迂回気味に、わりといきあたりばったり、適当な道を選んで歩いていき、そうすると自宅からでも、ふと気付けばあまりなじみのない道に入ってしまったり、そのまま予想外な場所へ出てしまったりすることはある。とはいえ結果的には、大体想像の通りでこれまで経験した通りの道のりにはなる。ただし目的地到着まで異常に時間がかかったりはする。

我々の散歩コースは、ほとんど川沿いである。川沿いあるいは橋の上である。そういう場所を歩くというのは、つまり自分と周囲との距離感の変化を感じて歩くということで、ある一定の単位に区切られた空間を移動するだけのウィークデイに慣れた感覚が、川沿いや橋の上を歩くことで攪拌される。自分と視線の先にある川岸までのあいだに遮蔽物が何もないというのはすごいことだ。そのとき感じ取れる距離の大きさ、遠くを歩く人の小ささ、橋から川面までの高さ、鳥の移動スピードの速さ、それらを感じ取りながら歩く。それは自分が数センチに小人化してしまったときに身体がおぼえる感覚に近いのかもしれない。川に僕らは小さくなりに行くのだ。