冬の公園

中川から支流の大場川へと、ひたすら川沿いを歩き、やがて水元公園に着く。見上げると、青い空をバックにメタセコイアの朱色がきれいに映えている。柱のようにまっすぐ立ち並ぶ幹の間を抜けて歩くと、特有の香りが立ち込めているのがマスク越しでもわかった。鬱蒼とした林の向こうの暗い奥に見える一本のモミジが、暗さの隙間から鮮やかな赤い下地を透かして見せているようだった。公園内は、巨大でものすごく高価そうな望遠レンズつきカメラを抱えた人、犬を連れた人、自転車に乗ってる人、ジョギングしてる人、釣りをしてる人、テント張って中で寝そべってる人、そんな人々、老若男女大人から子供まであふれかえっていた。水鳥が、ずいぶん少なかった。鴨は少し、カワウも少し、サギは見かけなかった。どの鳥もボールのように丸く膨らんで、きれいに同じ方向を向いて、お互いの間隔を適度に空けて、かすかな波に揺られていた。水辺のベンチに座って、カップ酒を飲みながらその様子を眺めていた。胃の腑の奥底にほのかなあたたかみが宿ったようになって、さあ立ち上がって買い物して早めに帰ろうと思った。