演技

たまたまつけたテレビで、何とか賞の授賞式が放送されていた。受賞した俳優のよろこびの言葉と、それを祝福する共演者。客席からその様子を笑顔で見守る関係者たち。テレビカメラがとらえるたくさんの俳優たちの顔を見ていて、やっぱり葬式とか結婚式とかこの手の授賞式とかでの、こうしてテレビ中継されてるときの俳優業の人たちの芝居っぽさは、見ているとキツイな…と思った。

やはりあるフレーム内において演出を付けられて、役割と目的を与えられなければ、どんな才能ある役者であっても、演技は成り立たないということなのか、いや、というより、ああいった場でとりつくろわれてる社会というか関係性というか、それっぽいタテマエ感の薄っぺらさ、全体的なウソ臭さが辛いのだなと思った。

でも大昔、僕が子供だった時代に、この手の薄っぺらいタテマエ感は、もっと我が物顔ではびこっていた。いい大人たちがやたらとその気になって、しかしそれは子供の目からさえ、たよりないものに見えた。その記憶があるから、余計にうんざりした気分にさせられるのだろう。だからこういうものを見てしまう機会は、今ではむしろ希少になったのかもしれない。