在宅

朝から妻が外出したので、終日家で一人だった。空は気持ちよく晴れ渡っていたけど、ずっと自室で本を読んでいただけの一日になった。中野重治「五勺の酒・萩のもんかきや」を読み進めた。なんというか、印象や簡単な感想を書こうとしても、なかなか言葉が出てこないような作品群だ。まずその作品のなかに、ぐっと入り込んでいくのが、やや難易度高い。

一日中、家にいてじっとしているのは、意外に身体負荷が高いと感じる。ふだんの平日のように適当に歩き回ってたりする方が、身体そのものを意識せずに済むというか、習慣やルーティンに身を預けてしまえば、そっちの意識を放置できてしまう。自室で読書してるだけの自分が、自分の身体を忘れてしまえることはほぼない。むしろ全部がマニュアル制御の乗り物に乗ってるような感じだ。身体への意識と、あと時間が経過することへの意識が強くなる。

夕方になって、何カ月ぶりかで、近所の居酒屋へ行ってみたら、まだ明るいうちだというのにかなりの盛況で、世間の話題や流れとはまたべつに、お客さんは気まぐれで、いつ忙しくていつヒマなのか、まるで予想つかないものだねえ…という感じ。もっとも自分だってそんな客の一人ではあるし、営業時間も再び短縮になれば、また当分のあいだは来れなくなるだろう。